「生活保護を受給しているけれど、引っ越しをしてもいいの?」
「生活保護を受給している場合、引っ越し費用は支給してもらえるの?」
生活保護を受給している場合、行政の許可や担当のケースワーカーの判断が必要な行動が多いことからも、なんとなく自分の意思では引っ越しがしづらいような気がしてしまいます。
また、すでに生活費を支給してもらっているうえで引っ越し代の初期費用や退去費用などを追加でもらえるのかも気になるところです。
結論として、生活保護受給者でも引っ越しできますし、関連する費用も支給されます!
ただし引っ越しするには、家主から強制退去を求められたり、離婚によって新たな住宅が必要になったりしたなど、特定の条件を満たさなければなりません。加えて、通常の引っ越しとは異なる手続きや申請も必要です。
今回は、生活保護受給者が引っ越しをするときの条件や流れについて解説していきます。生活保護を受給しているときに引っ越しを検討する場合、ぜひマニュアルとしてご活用ください。
生活保護受給者でも引っ越しはできるの?
生活保護受給者でも引っ越しできることをお伝えしましたが、生活に困っている状況で本当に引っ越しできるのか、疑問に感じるかもしれません。
そのような方は、根拠となる憲法や法律を知ると、安心して引っ越しできますよ!
早速、生活保護受給者が引っ越しできるのか、憲法や法律の観点から確認してみましょう。
引っ越しは基本的に自由
日本国憲法では、「居住、移転、職業選択、外国移住及び国籍離脱の自由」という条文で、どのような人に対しても移転の自由を認めています。
〔居住、移転、職業選択、外国移住及び国籍離脱の自由〕
引用:日本国憲法第二十二条(衆議院)
第二十二条 何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
「何人」とあるので、生活保護受給者にも引っ越しの権利があることがわかります。
したがって、生活保護受給者だからという理由で、引っ越しできないわけではありません。勘違いをしないようにしましょう。
最低限度の生活を逸脱した引っ越しは難しい
日本国憲法の条文から、生活保護受給者でも引っ越しが認められていることがわかりました。
しかし、希望する引っ越しの要望がすべて認められるとは限りません。というのも、生活保護法には「最低限度の生活を保障する」という記載があるからです。
第一条 この法律は、日本国憲法第二十五条に規定する理念に基き、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする。
引用:生活保護法第一条(e-Govポータル)
特別な理由なしに高い家賃の物件に移るなど、贅沢を求めて引っ越しするのは難しいでしょう。
条件を満たせば引っ越し費用を支給してもらえる
引っ越しをするには、家具や家電の買い替えや、業者の利用料金など、さまざまなお金が発生します。生活保護受給者の場合、利用できるお金が限られていることから、金銭面で引っ越しできるのか不安になってしまいますよね…。
生活保護受給者が自己都合で引っ越しする場合、基本的には発生する費用の全額を自分で負担しなければなりません。しかし、一定の条件を満たせば引っ越し費用を支給してもらえます!
(1)住宅扶助
引用:扶助の種類(内閣府男女共同参画局)
借間、借家住まいをしている場合に、所在地域別に定めた基準額の範囲内で居住費用が支給されます。また必要に応じて転居費用も支給されます。
住宅扶助とは、困窮のために最低限度の生活を維持できない人に対して、家賃や間代、地代、補修費等住宅維持費などを給付する制度です。住宅扶助では、居住費用だけでなく転居費用が支給されるため、引っ越し費用も支給してもらえることがわかります。
引っ越し費用を支給してもらうための16の条件
引っ越し費用の支給を受けるためには、下記の条件のいずれかを満たす必要があります。
- 病院で入院する人で退院後の住居がない場合
- 家賃が生活保護法の規定をオーバーする金額に値上がりして、ケースワーカーの指導のもと住みかえる場合
- 国や自治体から土地の収用を理由に立ち退きを求められた場合
- 仕事の退職によって社宅に住めなくなった場合
- 社会福祉施設から退所するときに家がない場合
- 宿泊提供施設等を仮住居としていた人で居宅生活の許可が下りた場合
- 自宅から遠距離の通勤が困難になった人で、会社の近くに住むことで収入が増加し、健康維持の効果も見込める場合
- 火災等で住居が消滅した、あるいは居住できなくなった場合
- 自宅の老朽化や破損で居住できなくなった場合
- 世帯人数に対して現在の住居が明らかに狭い場合
- 病気の療養に適した環境でないと認められる場合、あるいは身体障害者に設備の構造が適さない場合
- 一時的に居住していた親戚や知人の住居から転居する場合
- 物件の貸主が退去を要求している、あるいは契約更新の拒絶や解約の申し入れによって転居が必要になった場合
- 離婚によって新しい住居が必要になった場合
- 障害者や高齢者が介護を受けるために扶養義務者の近く引っ越しする場合
- グループホームや有料老人ホーム、バリアフリー住宅に住む必要がある場合
条件はたくさんありますが、すべてを満たす必要はありません。ひとつでも当てはまれば引っ越し費用を支給してもらえるので安心してください!
ちなみに、家賃が自治体の規定をオーバーする金額に値上がりした場合や、家主から退去を求められた場合、病気の療養上あるいは身体障害者に適さない住まいの場合などは、比較的引っ越しの許可をもらいやすいようです。
生活保護受給者が支給してもらえる引っ越し費用
ここまでの説明で生活保護受給者でも引っ越しができるだけでなく、転居に必要な費用も支給してもらえることがおわかりいただけたと思います。
ただ、転居に必要な費用はどこまで対象となるのか、気になるところですよね。
引き続き、生活保護受給者に支給される引っ越し費用の種類についてご紹介します!
引っ越し業者の利用料金
引っ越し業者の利用料金は一定の条件を満たす場合に全額支給されます。
支給してもらう条件は下記の通りです。
- 複数の業者から見積もりを依頼する
- 見積もりのすべてを福祉事務所に共有する
福祉事務所が見積もりを比較して一番安い業者を選びます。
ただし、業者の利用料金でも、一部の費用は支給されません。具体的には、荷造りや家電製品の設置、盗聴器捜索などに関するサービスの料金です。
自分で対応できるサービスや、必ずしも必要ないサービスの料金は、支払われない可能性が高いといえるでしょう。
注意点
複数の引っ越し業者に見積もりを依頼するのが面倒な場合、一括見積もりサイトを利用する方もいるかもしれません。ただ、一括見積もりサイトに登録すると、たくさんの業者から電話がかかってきてしまい、不要な対応に追われることになってしまいがちです。
一括見積もりサイトの実態については下記の記事でも詳しく解説しているので、もし利用するのであれば後悔しないように確認してみてください。
敷金や礼金、火災保険料
住宅扶助では、転居費用も支給されるとお伝えしましたが、敷金や礼金、火災保険料などは含まれているのでしょうか?
○敷金・礼金等
引用:住宅扶助について(厚生労働省社会・援護局保護課)
被保護者が、病院・施設から退院・退所するに際して帰住する住居がない場合や、退職等により社宅から転居する場合など、転居に際して敷金や礼金、火災保険料等を必要とする場合は、上記(2)に定める額の3倍の範囲内で認定することができる。
上記(2)の部分にあたる記述は下記の通りです。
(2)特別基準額
家賃、間代、地代等については、当該費用が上記の額を超えるときは、都道府県、指定都市、中核市ごとに、厚生労働大臣が別に定める額(限度額)の範囲内の額とする。ただし、限度額によりがたい家賃、間代、地代等であって、世帯員数、世帯員の状況、当該地域の住宅事情によりやむを得ないと認められるものについては、限度額に1.3を乗じて得た額(7人以上の世帯については、この額にさらに1.2を乗じて得た額)の範囲内において、特別基準の設定があったものとして、必要な額を認定することができる。複数人世帯等の特別基準 = 限度額×1.3
引用:住宅扶助について(厚生労働省社会・援護局保護課)
7人以上世帯の特別基準 = 限度額×1.3×1.2
生活保護受給者に対して、敷金や保証金、火災保険料などは、複数人世帯であれば住宅扶助基準額の3.9倍まで支給されることがわかります。
なお、住宅扶助基準額は都道府県ごとに異なっています。たとえば、埼玉県内の住宅扶助基準額は下記の通りです。
1人 | 2人 | 3~5人 | 6人 | 7人以上 | |
---|---|---|---|---|---|
1級地 | 47,700円 | 57,000円 | 62,000円 | 67,000円 | 74,400円 |
2級地 | 43,000円 | 52,000円 | 56,000円 | 60,000円 | 67,000円 |
3級地 | 37,000円 | 44,000円 | 48,000円 | 52,000円 | 58,000円 |
なお、市や町は1級地・2級地・3級地に区分されており、エリアによっても基準額が異なる仕組みです。
参考:
鍵交換代や仲介手数料
ここまでお伝えしたとおり、住宅扶助では転居に必要な費用が支給されるので、鍵交換代や入居するときの仲介手数料なども支給される可能性があるとわかります。
ただ、必ずしも支給されるとは明記されていないので、鍵交換代や仲介手数料に関する支給は、自治体ごとの判断によるでしょう。
引っ越し前に自治体に問い合わせをしておくと安心です。
家電の購入費
生活保護制度では、住宅に関する扶助だけでなく、生活に関する扶助も受けられます。生活扶助とは、飲食物費や光熱水費など日常生活を送るのに必要な費用を支給する支援です。
(1)生活扶助
引用:扶助の種類(内閣府男女共同参画局)
必要に応じて、学校入学時の準備金、新生活に必要な冷蔵庫や電子レンジ等の購入費などの臨時費用については一時扶助が支給されます。
このように生活扶助では、新生活に必要な冷蔵庫や電子レンジなど、臨時で必要となる支出についても支給されます。
そのほかの家電については明記されていませんが、冷蔵庫や電子レンジ以外の家電の購入費についても、新生活に必要であれば支給される可能性が高いです。
衣類の購入費
就職が決まったことで引っ越しする方の場合、スーツや靴なども新生活のなかで必要になってきます。
引っ越し費用を支給してもらえても、就職の準備ができなければ、社会人生活に支障をきたしてしまいますよね。
その点、生活保護制度では生業扶助という仕組みもあり、就職支度費についても支給されます。生業扶助は、生業に就くのに必要な技能を修得する方や高等学校に通っている方などに対して、必要な費用を支給する仕組みです。
(7)生業扶助
引用:扶助の種類(内閣府男女共同参画局)
就職支度費:就職が確定した方に対し、就職に直接必要とする洋服類や履物などの購入費用が支給されます。
生業扶助では、就職に必要な洋服類や履物などの購入費用が支給されるので、引っ越し後に着用するスーツや靴などの購入費用も支給してもらえるでしょう。
生活保護受給者に支給されない引っ越し費用
生活保護受給者が引っ越しするとき、退去費用は自費になってしまいます。
たとえば「生活保護問答集」では、生活保護受給者の原状回復費用に関する解釈が下記の通り掲載されています。
賃貸借契約の特約により、賃借人に原状回復費用が求められる場合があるが、その費用は契約時に支払った敷金で賄うべきものである。すなわち、住宅維持費として対応が必要な需要について、あらかじめ敷金として支払っていると解することができる。このため、改めて住宅維持費を適用することはできない。
引用:生活保護問答集について 問7-117(厚生労働省)
一般的な引っ越しでも共通するように、賃借人が退去時の原状回復費用を支払わなければならないときは、入居時に支払った敷金で補うという考えが前提になっています。
問答集からわかるとおり、生活保護受給者に関しても、入居時に敷金の費用が支給されたケースでは、退去時に原状回復費用が支給されません。
敷金を支払っていない場合は支給される可能性もある
生活保護受給者は、必ずしも原状回復費用を支給してもらえないとは限りません。
問答集では、契約時に敷金を支払っていない場合に、引っ越し時に原状回復費用を請求されたときは、条件を満たせば必要最小限度の額を住宅維持費として認定できるという旨も掲載されています。
契約時において敷金を支払っておらず、転出時に原状回復費用を請求された場合については、次のいずれにも該当する場合に限り、必要最小限度の額を住宅維持費として認定して差し支えない。
(1)原状回復につき特約があること
引用:生活保護問答集について 問7-117(厚生労働省)
(2)原状回復の範囲が、社会通念上、真にやむを得ないと認められる範囲であること
(3)故意・重過失により毀損した部分の修繕ではないこと
いざというときに退去費用を支給してもらえるよう、物件を慎重に利用することが重要です。
生活保護受給者が引っ越しするときの流れ
生活保護受給者の場合でも引っ越し時に支給される費用があるとわかり、安心できたのではないでしょうか。
ただし生活保護を受給している場合、受給していない方とは引っ越しの流れが異なります。生活保護受給者が引っ越しするときの流れについても確認しておきましょう!
役所に相談して許可をもらう
16の条件に該当していることを確認したら、住まいを管轄する役所に相談して、引っ越しの許可をもらいます。
引っ越しの許可を含む相談は福祉事務所が担当しているので、正確には役所の福祉事務所生活保護担当課に転居の希望を伝えましょう。担当課の名称は役所によって変わるので、ホームページで表記の確認が必要です。
現在の物件より家賃が安い物件に引っ越す場合、役所に連絡する必要がないと思ってしまうかもしれません。しかし、家賃が安い物件でも必ず許可を得る必要があるので、注意してください。
物件を探す
役所から引っ越しを認めてもらえたら、物件探しをスタートします。
物件を選ぶときは、住宅扶助で支給される上限金額を超えない範囲に家賃を抑えましょう。
また、不動産契約では契約者の信用が重視されることがあります。生活保護を受給していることがネックとなって、契約を断られてしまうこともあるかもしれません。
少しでも不安があれば、生活保護受給者向けの賃貸情報サイトの利用を検討してみましょう。
生活保護受給者向けのサイトでは、物件に「生活保護可」というマークが記載されるなど、制度の利用を前提とした賃貸情報が掲載されています。
生活保護受給者専門の部署が対応してくれるので、制度の利用者でも安心して物件を探せるでしょう。
ケースワーカーに必要な費用を報告してから契約まで進める
引っ越し先の物件が見つかったら、契約前に家賃や初期費用にかかる金額などをケースワーカーに報告して許可をもらいます。
支給対象外の費用があっても、自分で支払えれば許可が下りることもありますが、お金に余裕があると思われると、生活保護の受給額が減る恐れがあるので注意してください。
許可が下りたら、物件の大家さんや管理会社から入居審査を受けます。審査に通過したら、初期費用を支払える期日についてケースワーカーから共有してもらい、賃貸借契約を締結する日程を決定しましょう。
物件を契約するときは、住宅契約書や契約時の領収書をしっかりと保管しておくことが大切です。ケースワーカーに提出して費用を支給してもらうのに必要になります。
引っ越し業者を探す
物件の契約が完了したら引っ越し業者を探しましょう。
生活保護受給者の中には、人混みが苦手な方やパニック障害で電車に乗れない方、車椅子で移動が困難な方もいますよね。その点、通常の引っ越しでは業者のトラックに乗車させてもらえないので、自分で移動する手段を確保しなければなりません。
移動手段に困ったときは、生活保護受給者専用の業者を検討してみましょう。生活保護受給者専用の業者は、引っ越し先まで一緒に移動してくれます。
また、避難所からの引っ越しで家電や生活用品がないとき、リサイクルショップに同行して購入をサポートしてもらうことも可能です。
追加の請求をする場合もケースワーカーと相談してくれるので、安心して引っ越しを進められます。
生活保護受給者がほかの市へ移動する際の手続き
ここまでのご説明によって、生活保護受給者が引っ越しをするときの流れについてイメージが湧いてきたのではないでしょうか。
ただし生活保護受給者がほかの市に引っ越しをするときには、通常の転居にはない手続きが発生することもあります。
次は生活保護受給者がほかの市に引っ越しをするときの手続きを解説していきます!
生活保護の再申請
市区町村外に引っ越しする場合、生活保護の申請をやり直さなければならないケースがあります。
この場合は引っ越し後に担当のケースワーカーが転居確認の訪問をして、その判断により転居先の住所を管轄する福祉事務所で生活保護を再申請する流れとなります。
移管手続きが完了するまでには、2~3か月の期間がかかります。手続きが完了するまで生活保護費が支給されるか不安になるかもしれませんが、その間は今まで通りに生活保護が継続されるのでご安心ください。
ただし、自治体によって生活保護の支給額が異なるので、引っ越し前と同じ受給額を受け取れるとは限りません。役所の担当者に詳細を確認してから引っ越しを検討しましょう。
公共料金の減免手続き
引っ越しにともない公共料金の減免手続きも必要です。
たとえば広島市水道局では、生活保護受給者を対象として「水道料金等の福祉減免制度」を用意しています。水道料金と下水道使用料の一部を申請により減免してもらえる制度です。
転居するときには新たな住所で減免の申請をする決まりになっています。
申請先は、最寄りの水道局営業所や各区厚生部生活課です。申請書はホームページから印刷するか、営業所と生活課に備えられている用紙を利用します。
具体的に減免される料金は下記の通りです。
2か月の場合
水道料金の0~20立方メートル相当額 | 1,782円~1,892円(口径20mm) |
下水道料金の0~20立方メートル相当額 | 1,529円~1,573円 |
1か月の場合
水道料金の0~10立方メートル相当額 | 891円~946円(口径20mm) |
下水道料金の0~10立方メートル相当額 | 764円~786円 |
生活保護受給者は2回目も引っ越しできる?
生活保護受給者でも引っ越しできることはわかりましたが、新しい住居の環境に馴染めないリスクもゼロではなく、2回目以降も転居できるのか気になるところですよね。
結論として、生活保護者の引っ越しは何度でも行えます。理由があれば2回目でも3回目でも、ケースワーカーから許可をもらえれば可能となります。
もちろん、すでにご紹介した16の条件の1つにあてはまらないと、引っ越しはできません。また何度も引っ越しすると費用が増えることもあり、2回目は許可をもらいづらい場合もあるかもしれません。
口コミをリサーチしたところ、実際に生活保護を受給した方が身体的な理由で2回目の引っ越しを区役所に相談した結果、数年は現在の住居に住まなければならないといわれてしまった方もいらっしゃいました。
自分では条件を満たしていると思う場合でも、担当者によっては許可の判断が異なることもあるようです。
トラブルを回避するには、できるだけ引っ越しの回数を減らせるよう、1度目の転居で物件を慎重に選ぶことが大切だといえるでしょう。
生活保護受給者が転居指導を受けたら引っ越しが必要?
生活保護受給者が引っ越しを希望できることをお伝えしましたが、反対にケースワーカーから転居指導を受けることがあります。
そもそも転居指導とは、生活保護受給者が居住している賃貸物件の家賃が、住宅扶助として受給できる金額の上限を超えたときに、ケースワーカーから引っ越しを促される指導です。
転居指導の根拠は生活保護法第二十七条に記載されています。
保護の実施機関は、被保護者に対して、生活の維持、向上その他保護の目的達成に必要な指導又は指示をすることができる。
引用:生活保護法第二十七条(e-Govポータル)
2 前項の指導又は指示は、被保護者の自由を尊重し、必要の最少限度に止めなければならない。
3 第一項の規定は、被保護者の意に反して、指導又は指示を強制し得るものと解釈してはならない。
あくまで生活保護受給者の自由を尊重することが前提とされており、意に反して指示を強制してはならないと定められています。
口コミをリサーチしたところ、実際に転居指導を受けた方が上限を超える家賃を自分で負担することを条件に、引っ越しを保留にしてもらえたケースがありました。
したがってケースワーカーから転居指導を受けたとしても、必ずしも引っ越しをしなくてよいとわかります。
どうしても引っ越しできない場合は転居指導を無視するのではなく、ひとまず対応できない理由を伝えてからその後の対応について相談しましょう。
生活保護受給者が引っ越し費用を支払うときの方法
前述の章にて生活保護受給者は引っ越し費用が支給されることをお伝えしてまいりましたが、実際にはどのような支給のされ方で、誰が業者に直接支払うのか気になりますよね。
基本的に引っ越し費用は前もって受け取り、受給者自身で業者に支払う場合がほとんどです。
しかし、生活保護受給者の中にはお金をうまく管理するのが苦手な方もいます。もし、事前に支給された引っ越し費用を使ってしまえば、業者にサービス利用料金を支払えなくなってしまいますよね。
そのため、生活保護受給者の状況によっては、自治体が直接業者に支払うこともあるようです。
なお、生活保護受給者専用の業者であれば、ケースワーカーと連携してくれるので、料金の支払方法について慎重に提案してくれる可能性があります。ケースワーカーの意向にあわせて多様な支払方法に対応してくれるのも安心です。
お金の管理や支払方法に少しでも不安があれば、ケースワーカーに相談して自治体から直接業者に支払ってもらう方法や、生活保護受給者専用の業者を利用することも検討しましょう。
まとめ
今回は、生活保護受給者の引っ越しについて基本的なルールを解説しました。
前提として、日本国憲法で万人に転居の自由が認められているため、生活保護受給者も引っ越しできます。
ただし、家賃が自治体の支給上限より値上がりしてしまった場合や、住居が病気の療養に適さない環境である場合など、特定の条件に該当しないと引っ越しできません。
条件を満たす場合は、引っ越しに必要な費用も支給してもらえます。具体的には、引っ越し業者の利用料金や敷金、礼金、火災保険料などです。生活扶助の制度によって、冷蔵庫や電子レンジなどの家電購入費も支給してもらえます。
反対に生活保護受給者は、退去時の原状回復費用について支給してもらえません。敷金を支払っていない場合は支給してもらえる可能性があります。しかし、故意や重過失により毀損した部分の修繕については支給してもらえません。
生活保護受給者が引っ越しをするときは、自治体の福祉事務所生活保護担当課に転居の希望を伝えて、許可にもとづき物件探しから業者の契約まで進めていきます。
なお利用する業者については、福祉事務所が複数の見積もりを比較して、最も安いサービスを選ぶ仕組みです。コストの高い業者は利用できない可能性が高いといえます。
自分が選んだ業者で引っ越しを進めたいのであれば、カルガモ引越センターがおすすめです。
カルガモ引越センターは、テレビ広告を行わないことで広告費を削減し、お得な価格でサービスを提供している業者です。比較的費用が安いことから、ケースワーカーに見積もりを了承してもらいやすいといえます。
また生活保護受給者の方々に関しては、各自治体福祉課を通して直接、支給分の引越し費用を当方に支払っていただくことも可能となります。
電話やメール、ZOOM、LINEなどのさまざまな方法で見積もり相談を受け付けています。生活保護を受けている場合に引っ越しを検討するときは、ぜひカルガモ引越センターにご相談ください。