入籍や引っ越し、新生活の準備を進める際に多いお悩みが、手続きの順番やタイミングです。婚姻届の提出や住所変更、会社への届け出、ライフライン契約など、結婚と引っ越しに関連する手続きは数多く、前後の流れを把握しておくことが重要です。
本記事では、結婚・入籍・引っ越しに必要な手続きの流れと注意点をわかりやすく解説します。婚姻届の提出時期、引っ越し前後のポイント、結婚新生活支援事業などの公的サービス、そして費用や支援制度の活用方法までをまとめました。
これから結婚を控える方や、新婚生活を始める準備をしている方が、スムーズかつ効率的に手続きを進められるように、チェックリストとしても活用できる内容です。ぜひこの記事を参考に、安心して新生活の第一歩を踏み出してください。
婚姻するために必要な手続きと準備の流れ

結婚・入籍の際には、婚姻届の提出を中心に、氏名・住所・戸籍などに関わる複数の手続きが必要になります。
婚姻届を出せば自動的にすべて完了するわけではなく、届け出前後に行うべき準備・確認・名義変更などを整理しておくことが大切です。
ここでは、婚姻届の提出から関連手続きまでを順番に解説します。
婚姻届の提出に必要な書類と確認事項
婚姻届を提出する際に準備すべき書類は、以下のとおりです。
【必要書類一覧】
- 婚姻届(市区町村役場で取得、または公式サイトからダウンロード)
- 本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカードなど)
- 戸籍謄本(本籍地以外の役所に提出する場合のみ必要)
- 印鑑(自治体によっては不要の場合あり)
- 証人2名の署名・押印(成人であれば親族以外でも可)
これらの書類は全国共通で必要とされており、いずれかが不足していると受理されないこともあるため注意が必要です。婚姻届は、戸籍法に基づき、夫または妻の本籍地・住所地・一時的所在地のいずれかの市区町村で提出できます。
婚姻届は、平日の日中に限らず、24時間・365日受け付けている自治体も多く、土日・祝日や夜間でも提出可能です。時間外に提出する場合は「時間外受付窓口」にて預かり対応となり、後日内容確認のうえ正式に受理されます。
提出時には、証人欄の記入漏れや誤字脱字、印鑑の押し忘れなどの不備があると受理されない場合があります。特に、婚姻届の提出日が記念日になるよう計画している方は、前もって役所の窓口で記入内容の確認をしてもらうことをおすすめします。
婚姻届を出す場所と本籍地の決め方【どこで出すのが便利?】
婚姻届は、どの市区町村にでも提出できるわけではありません。戸籍法第74条により、提出できる場所は次のいずれかに限られています。
- 夫または妻の 本籍地
- 夫または妻の 住所地(住民票のある場所)
- 一時的な 所在地(実際に滞在している場所や新居など)
つまり、現在住んでいる地域だけでなく、引越し予定の新住所や、どちらかの実家のある地域でも提出が可能です。どの市区町村でも法的効力は同じですが、今後の生活や各種手続きを考えると「戸籍地」をどこに置くかが大切です。
戸籍地は、夫婦で自由に決められますが、結婚後の手続きのしやすさを考えると、次のような場所が選ばれることが多いです。
新居の住所地(=新住所)
新居の契約が済んでいれば、引越し前でも新住所地で婚姻届を提出可能。
この場合、賃貸契約書などで「住む予定が確定していること」を証明できるとスムーズです。住民票・戸籍・証明書がすべて同じ役所で手続きできるため、最も便利です。
夫または妻の実家のある地域
地元に戸籍を置きたい人や、親族関係の証明を取りやすくしたい場合におすすめ。
つぎの「入籍と引越しの最適なタイミングとは?」でも詳しく解説していきます。
婚姻届提出後に必要な関連手続き
婚姻届を提出して受理されると、法律上は正式に夫婦となります。
しかし、これで手続きがすべて完了するわけではありません。婚姻によって氏名・住所・戸籍の情報が変わるため、日常生活に関わるさまざまな名義変更・届出を行う必要があります。特に、氏名変更を行う場合は手続きの量が多いため、優先順位を決めて進めると効率的です。
婚姻届提出後の各種名義変更・届出は、すべて完了するまで約1〜2週間程度が目安です。
金融機関・保険・通信関連は混雑期に時間がかかる場合があるため、仕事の休みや平日昼間など、窓口が空いている時間を活用して進めるとスムーズです。
| 手続き内容 | 手続きの概要 | 提出先・手続き場所 | 必要書類・注意点 |
|---|---|---|---|
| 1. 住民票の住所変更(転出届・転入届) | 婚姻届と引越しが前後する場合、新住所へ住民票を移す必要あり | 旧住所→新住所の市区町村役所 | 転出証明書、本人確認書類、印鑑 |
| 2. マイナンバーカード・運転免許証の氏名変更 | 新しい氏名・住所へ変更。本人確認にも必要 | 各自治体の窓口/警察署 | 婚姻届受理証明書または新戸籍謄本、本人確認書類 |
| 3. 健康保険・年金の切り替え・扶養手続き | 結婚により扶養関係や加入区分が変わる | 勤務先または市区町村役所 | 保険証、戸籍謄本、印鑑、本人確認書類 |
| 4. 銀行・クレジットカード・証券口座などの名義変更 | 氏名・住所変更を各金融機関で行う | 各銀行・カード会社・証券会社 | 戸籍謄本、本人確認書類、印鑑(必要に応じて) |
| 5. 会社への結婚・住所変更届の提出 | 人事・総務部へ結婚と住所変更の報告 | 勤務先 | 婚姻届受理証明書、住民票、扶養関連書類 |
| 6. パスポートの記載事項変更申請 | 氏名・本籍変更がある場合は訂正申請 | 各都道府県のパスポートセンター | 戸籍謄本、本人確認書類、写真、手数料 |
| 7. ライフライン・インターネット・携帯電話の契約情報変更 | 住所・氏名を統一。引越しと同時進行で行うと効率的 | 各契約会社(電気・ガス・水道・通信など) | 契約番号、本人確認書類、新住所情報 |
入籍と引越しの最適なタイミングとは?

結婚や入籍、引っ越しを同時期に行う際は、手続きの順番と流れを把握しておくことが大切です。ここでは、「引越しと入籍を同時に行う」「引越し後に入籍する」「引越し前に入籍する」の3つのパターン別に、必要な手続きと注意点をわかりやすくまとめました。
① 引越しと入籍を同時に行う場合の流れと注意点
【手続きの流れ】
- 現住所の市区町村で転出届を提出(転出証明書を受け取る)
- 新住所の市区町村役場へ行き、転入届と婚姻届を同時に提出
- 受理後、住民票・戸籍・氏名情報を新住所へ更新
- 運転免許証・マイナンバーカード・銀行・保険・会社などの住所・名義変更手続きを実施
- 電気・ガス・水道・インターネットなどのライフライン契約を新居で開始
市区町村によっては婚姻届と転入届を同時受付できない場合もあるため、事前に確認が必要です。同日提出する場合は、書類の記入漏れや証明書の有効期限に注意しましょう。
② 引越し後に結婚・入籍する場合の流れと注意点
【手続きの流れ】
- 旧住所で転出届を提出
- 新住所で転入届を提出(新しい住民票を取得)
- 新住所地の役所で婚姻届を提出(新しい戸籍が新住所に作成される)
- 会社・銀行・保険・クレジットカードなどで氏名変更・住所変更の手続きをまとめて実施
- 引越し後の公共料金・インターネット・郵便物転送などの関連手続きを整理
新住所で婚姻届を提出する場合、転入届を先に済ませる必要があります。引越し後に入籍することで、新住所と戸籍地が一致し、手続きが簡単になるメリットがあります。
③ 引越し前に結婚・入籍する場合の流れとポイント
【手続きの流れ】
- 現住所地(または本籍地)の役所で婚姻届を提出
- 婚姻届受理後に戸籍謄本・住民票を更新
- 引越しの準備を行い、新居で転入届を提出
- 新住所でマイナンバー・銀行口座・保険・会社関係の住所変更手続きを実施
- ライフラインや郵便転送など、新生活準備に必要なサービス契約を完了
上記の流れの場合、戸籍は現住所地(旧住所)に作成されます。しかし、婚姻届は、戸籍法により「本籍地」だけでなく「住所地」または「一時的な所在地」でも提出可能なため、引越し先がすでに決まっている場合であれば、引越し前でも新住所地の役所に婚姻届を提出することができます。
婚姻届を提出する場所(旧住所か新住所か)によって戸籍地が変わる点を理解し、自分たちに合った手続きを選びましょう。
新婚生活をスムーズにスタートさせるための準備

結婚・入籍・引越しなどの手続きを終えたら、いよいよ新しい生活のスタートです。
とはいえ、ここからが本格的な準備期間でもあります。
家具や家電の購入、ライフライン契約、住所変更など、生活基盤を整えるための準備を段取りよく進めることが、新婚生活をスムーズに始める鍵になります。
新婚生活のスタートに必要な準備リスト
新生活の準備は、「生活必需品の購入」「引越し後の手続き」「インフラ関連の整備」の3ステップに分けて進めると整理しやすくなります。
【生活に必要な基本アイテム】
- 家具:ベッド、ソファ、テーブル、収納棚、カーテンなど
- 家電:冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ、掃除機、炊飯器など
- キッチン用品:調理器具、食器、保存容器、収納用品など
- 日用品:タオル、寝具、洗剤、トイレットペーパーなど
まずは最低限の生活に必要なアイテムからそろえ、新居での動線や収納スペースを考えながら、足りないものを後から追加するのがおすすめです。
【引越し後に必要な各種手続き】
- 郵便物の転送届(旧住所→新住所へ)
- NHK受信契約の住所変更
- 火災保険・地震保険の住所変更または新規契約
- 銀行・クレジットカード・保険などの登録住所変更
引越しを終えたら、まずは郵便転送の手続きを済ませ、重要な書類や請求書が旧住所に届かないようにしましょう。
また、公共料金や保険契約なども婚姻後の新しい氏名・住所に統一しておくと、後のトラブルを防げます。
【インフラ関連の契約・開通手続き】
- 電気・ガス・水道の開通申込(入居日を指定して手続き)
- インターネット回線・Wi-Fi契約(引越し前の申込で入居日開通がスムーズ)
- 携帯電話・サブスクリプションサービスの住所変更
ライフラインは、引越し前に各社へ連絡しておくと安心です。
入居日に電気・ガス・水道が使えるように、開通日と立ち合い日を事前に予約しておきましょう。また、インターネットは開通工事に1〜2週間ほどかかることが多いため、早めの申し込みがポイントです。
結婚と引越しにかかる費用とコストを抑えるコツ

結婚や入籍に合わせて引越しを行う場合、家具・家電の購入や新居の初期費用、引越し代金など、まとまった出費が発生します。
新生活のスタートを気持ちよく切るためには、費用の目安を把握し、支払いのタイミングを整理しておくことが大切です。
結婚と引越しにかかる主な費用の目安
結婚と引越しを同時期に行う場合、次のような出費が発生します。
| 費用項目 | 内容 | 平均費用の目安 |
|---|---|---|
| 新居の初期費用 | 敷金・礼金・仲介手数料・前家賃など | 家賃の4〜6か月分(約30〜60万円) |
| 引越し費用 | 荷物量・距離・時期によって変動 | 約5〜15万円(単身〜2人暮らし) |
| 家具・家電の購入費 | ベッド・冷蔵庫・洗濯機など | 約60〜80万円 |
| 手続き・書類関係費用 | 戸籍謄本、印鑑証明書、転出入届など | 数千円〜1万円前後 |
| その他の生活準備費 | カーテン、調理器具、日用品など | 約20〜40万円 |
婚姻届や戸籍謄本などの行政手続き費用はわずかですが、実際には「住まい・引越し・家具・家電・生活用品」などの支出が中心です。
準備期間や新居の条件によって差はありますが、平均的な新婚世帯では総額80〜150万円前後かかるケースが多いといわれています。
家具・家電や生活用品は、選び方ひとつで費用が倍近く変わる場合もあります。
新生活を快適に始めるために、必要なものと後からそろえられるものを分けて計画的に購入することが大切です。
新婚生活スタート!引越しの費用を抑えるコツ
結婚や入籍を機に新居へ引越すカップルにとって、引越し費用は大きな負担のひとつです。
しかし、時期・プラン・サービス内容を上手に選ぶことで、同じ距離・荷物量でも数万円単位で節約することが可能です。
ここでは、新婚カップルが実践できる「引越し費用を抑える3つのコツ」を紹介します。
引越しの時期を考えて、出費を分散する
引越し費用は時期によって大きく変わります。
3〜4月の繁忙期は、同じ条件でも通常期(5〜2月)より1.5〜2倍になることも。
一方、秋〜冬の時期は比較的予約も取りやすく、料金が抑えられやすいオフシーズンです。
平日・午後便・月末以外を選ぶと費用を抑えられます。どうしても繁忙期になる場合は、早めの予約であれば、見積もりの費用が抑えられることもあるので早めにスケジュールを立てることをおすすめいたします。
結婚式や入籍日の前後に引越しを重ねると出費が集中するため、2〜3か月の余裕をもってスケジュールを調整できるように準備をすすめましょう。
立ち寄りプランなどを利用して引越し費用を抑える
入籍と引越しを同時期に行うなら、「カップルプラン」を活用して2人分をまとめて運ぶことで費用を抑えられます。
カルガモ引越センターのカップルプランでは、1台のトラックに2人分の荷物をまとめて搬送できるため、別々に依頼するよりも30〜40%節約できるケースもあります。
日々の生活費は“節約”より“使い方のバランスを見直す”
結婚直後は、食費・光熱費・交通費などの支出が増える時期です。
無理に我慢して固定の生活費に抑えるよりも、お金を使う部分と抑える部分のバランスを取ることが大切です。
賢く抑えるポイント:
- 食費は自炊を中心にしつつ、まとめ買い・冷凍保存で無駄を減らす
- 光熱費・ネットはセット契約プランや乗り換えキャンペーンで割引を活用
- キャッシュレス決済やポイント還元を積極的に利用して実質的に節約
結婚新生活支援事業の助成金の活用と申請手順

結婚や引越しの初期費用を少しでも抑えたい場合、国と自治体が行っている「結婚新生活支援事業」の活用がおすすめです。
この制度では、一定の条件を満たす新婚世帯に対して、新居の取得費用や引越し費用などを補助してもらうことができます。
結婚新生活支援事業とは?
「結婚新生活支援事業」は、内閣府が全国の自治体と連携して行っている補助制度で、新婚カップルの経済的負担を軽減し、安心して新生活をスタートできるよう支援するものです。
| 内容 | 補助上限額(例) | |
|---|---|---|
| 住宅取得費 | 新居の購入やリフォーム費用 | 最大30〜60万円程度(自治体により異なる) |
| 賃貸契約費用 | 敷金・礼金・仲介手数料・家賃など | 最大30〜60万円程度 |
| 引越し費用 | 引越し業者への支払い費用(見積書・領収書が必要) | 最大30万円程度 |
| その他 | 一部自治体では家具・家電購入費も対象になる場合あり | 自治体による |
この制度を上手に利用すれば、引越し代金や新居の初期費用の一部が補助されるため、実質的に10〜30万円以上の節約になるケースもあります。
補助を受けるための主な条件
対象条件は自治体によって異なりますが、全国的に共通している基本的な要件は以下の通りです。
- 婚姻届を提出し、受理されてから1年以内の新婚世帯であること
- 夫婦の合計年収がおおむね400万円未満(世帯によっては480万円未満)
- 夫婦ともに申請する自治体に居住または転入予定であること
- 対象となる支出(契約・引越しなど)が、婚姻日以降に発生していること
婚姻前に契約・支払いを済ませてしまうと補助対象外になる場合がありますので、婚姻届提出後に契約・支払いを行うタイミング調整が重要ですので、詳しくは各自治体のHPを参考にしてください。
助成金の申請手順
申請は居住地(または新住所地)の市区町村役所で行い、書類をそろえれば自分で簡単に申請できる仕組みです。
【申請の流れ】
- 居住予定地の自治体の公式サイトで「結婚新生活支援事業」の実施状況を確認
- 対象となる支出(賃貸契約・引越し費用など)の見積書・領収書を保管
- 婚姻届受理証明書、住民票、所得証明書を準備
- 役所の担当窓口または郵送で申請書類を提出
- 審査後、指定口座に補助金が振り込まれる
自治体によっては申請期限(例:婚姻日から3か月以内など)が設けられているため、入籍・引越しのスケジュールを決めた段階で、早めに役所へ確認しておくことが大切です。
結婚と引越しに関するよくある質問(FAQ)
結婚や入籍、そして新居への引越しを同時に進めると、「どの順番でやるのが正解?」「費用はどのくらい?」「どこに提出すればいいの?」など、疑問が多くなるものです。
ここでは、新婚カップルから特によく寄せられる質問をまとめて解説します。
まとめ
結婚・入籍・引越しという3つの大きなライフイベントは、同時に進めようとすると慌ただしく感じるかもしれません。しかし、順番や時期、手続きの流れを理解しておけば、無理なくスムーズに新婚生活をスタートできます。
結婚は、これから始まる人生の新しいスタートライン。
引越しや生活準備に追われてしまうよりも、「一緒に暮らす時間」を楽しむ余裕を作ることが何よりも大切です。
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